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外注費・固定費の見直し

請求書の自動化、AIに任せるのは作るまで。会計ソフトとの線引き

元役員(年商1億→20億)中小企業7社の顧問AI導入のコンサル10件

請求書まわりの自動化でAIに任せるのは、届いた請求書やメール、PDFを読んで表に写し、振込データを作るところまでです。決まった形で毎回同じ処理は会計ソフトや銀行の機能に任せ、形がばらばらの書類を人が手で写している部分にだけAIを足します。現在は中小企業7社の顧問で、顧問先では「請求書を見ながらの振込データづくり」と「メールやPDFの内容を表に書き写す入力」を社長の手から外しました。この記事では、会計ソフトとAIの線引き、人が残す確認、制度で気をつける点を書きます。

請求書の自動化で、AIに任せるのはどこまで?

AIに任せるのは「読む・写す・作る」までです。「送る・振り込む・税の扱いを決める」は、人と専門家に残します。

請求書まわりの作業を分けると、次のようになります。

作業まず確かめる:会計ソフトや銀行の機能で足りるかAIで足す部分人が残す部分
届いた請求書(紙・PDF・メール)の中身を表に書き写す使っているソフトに、書類を読み取って取り込む機能があるかPDFやメール本文から、日付・取引先・金額・登録番号を1行ずつ表に写す元の請求書と表を突き合わせる
請求書を見ながら振込データを作る銀行のネットバンキングに、一覧を取り込む機能があるか。取り込める形は銀行ごとに決まっている写した表から、振込の一覧を作る送信や承認の前に、金額と振込先を見る
自社の請求書を作って送る会計ソフトや請求書ソフトの発行機能で足りるか送付メールの下書き、取引先ごとの文面の手直し送る前に宛先と金額を見る
仕訳・記帳会計ソフトと、頼んでいる税理士・会計事務所基本は触らない税理士・会計事務所に任せる
インボイスの扱い、経費になるかの判断――税理士に確認する

表の左から順に見ていきます。会計ソフトや銀行の機能で足りるところは、そちらを使います。AIを足すのは、ソフトの外で人が手で写している部分だけです。

会計ソフトで足りる部分と、AIで足す部分の線引き

線を引く目安は、書類の形が決まっているかどうかです。

  • 形が決まっていて、毎回同じ処理: 会計ソフトや銀行の機能に任せる。自社の請求書の発行、決まった取引先への毎月の処理など
  • 形がばらばらの書類を、決まった表に写す処理: AIで足す。取引先ごとに書式が違う請求書、メール本文に金額が書いてあるだけの連絡、PDFの見積書や納品書など
  • 判断が要る処理: 人と専門家に残す。仕訳の判断、税の扱い、支払うかどうかの判断

会計ソフトの機能は、製品やプランで違います。AIを足す前に、今のソフトで何ができるかを確かめてください。確かめずにAIで作り込むと、ソフトに最初からあった機能を二重に作ることがあります。

会計ソフトとAIの線引きを決める前に確かめる5つ
1. 届いた請求書(PDF・写真)を読み取って取り込む機能は、今のプランにあるか
2. 銀行の明細を自動で取り込む機能はあるか。使っている銀行に対応しているか
3. 振込の一覧を、銀行に取り込める形で書き出す機能はあるか
4. 自社の請求書の発行と送付は、ソフトの中で済むか
5. 今、ソフトの外で人が手で写している作業はどれか(← ここがAIを足す候補)

5番目に残った作業が、AIを足す候補です。業務の棚卸しで「請求書」「PDF」「転記」と書いた行があれば、そこから探します。棚卸しのやり方は業務の棚卸しのやり方にまとめました。

まだ会計ソフトや請求書ソフトを入れていないなら、AIを足す前に、そちらを入れるほうが早いことがあります。クラウド会計のfreee会計とマネーフォワード クラウドには無料で試せる期間があり、請求書作成ソフトのMisocaには、請求書が月10枚までなら無料で使えるプランがあります(いずれも公式サイトで2026-10-04確認)。料金と中身は、記事の下の「この記事で触れた道具」にまとめました。

お金が動く作業は、作るところまで

振込データも、送る請求書も、AIに任せるのは作るところまでです。振込の送信や承認、請求書の送付は人がやります。

理由は、AIの間違いが正しい答えと同じ顔をして出てくるからです。私は自社が払う側の金額をAIに計算させて、やり直させたら数字が変わったことがあります。そのときの話と確かめ方は、ChatGPTの計算は間違う。やり直させたら数字が変わった私の確かめ方に書きました。

人が見るところは、次の4つに絞ります。

  1. 合計: AIに同じ計算をもう一度やらせて、2回そろうまで使わない
  2. 元の請求書との突き合わせ: 取引先・金額・支払期日が、表と請求書で合っているか
  3. 振込先: 口座が前回と違う請求書は、その場で使わず、取引先に確かめる
  4. 読めなかった所: AIが【要確認】と書いた行は、人が元の書類を見て埋める

全部を任せようとすると、確認のやり方を作るところで止まります。確認を人に残したまま、作る時間を消すほうが先に進みます。

そのまま使える、請求書を表に写す頼み方

最初の1つは、届いた請求書のPDFを表に写す作業から始めるのが扱いやすいと考えています。写すだけで、お金はまだ動かないからです。

請求書のPDFを表に写す指示
添付した請求書のPDFを読んで、次の列の表を1枚につき1行で作ってください。
列:請求書の日付/取引先名/請求金額(税込)/支払期日/振込先の銀行・支店・口座/登録番号

決まり:
・請求書に書いてあることだけを写す。計算や推測で埋めない
・読めない所、書いていない所は【要確認】と書く
・金額は数字だけ。単位は円
・最後に、全行の請求金額の合計を出し、使った数字を1行ずつ並べる

AIに社外の書類を渡す前に、社内で「AIに入れてよい情報」を決めておきます。請求書には取引先の名前や口座が載っているからです。決め方は生成AIの社内ルールは、A4一枚で足りるに書きました。

制度で気をつけること:電子帳簿保存法とインボイス

AIで表に写したあとも、元の請求書の保存は別に考えます。ここに書くのは、国税庁の案内で確かめた範囲です(確認日:2026-09-30)。自社がどう対応するかは、顧問の税理士に確認してください。

メールで届いたPDFの請求書は、データが原本

メールで受け取ったPDFの請求書は、電子帳簿保存法でいう「電子取引データ」です。国税庁の案内では、令和6年1月からは、プリントアウトしたあとに電子データを消さずに保存する必要がある、とされています。電子取引データが原本という扱いです。

保存のしかたには、日付・金額・取引先で検索できるようにする決まりがあります。専用のシステムがなくても、表計算ソフトで索引簿を作る方法や、ファイル名に日付・金額・取引先を規則的に入れて1つのフォルダに集める方法がある、と案内されています。

AIで写す表の列に日付・金額・取引先を入れておけば、この索引簿の形に近づけることはできます。ただ、それで自社の保存の決まりを満たすかどうかは、税理士に確かめてから決めてください。

インボイスの登録番号も写しておく

インボイス(適格請求書)には、発行した事業者の登録番号が書かれています。登録番号は、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で検索して確かめられます。

上の頼み方で登録番号の列を入れているのは、あとで人が確かめやすくするためです。登録番号がない請求書をどう扱うか、経費や消費税の計算にどう響くかは、税の判断です。ここは税理士に任せます。

記帳は外に残した

請求書の自動化を進めると、記帳まで社内で、と考えたくなります。私は顧問先で、決算とつながる記帳は外注のままにしたほうがいい、という判断を出したことがあります。社内に戻すと、そのぶん誰かの時間が消えるからです。この判断の理由は、外注費のAI削減で内製にしていいもの・ダメなものに書いています。

よくある質問

Q. 請求書の自動化は、会計ソフトだけでできますか?

決まった形の処理なら、会計ソフトや銀行の機能で足りる場合があります。まず今のソフトとプランで何ができるかを確かめます。取引先ごとに形が違う請求書やメールを、手で表に写している部分が残るなら、そこにAIを足す価値があります。

Q. AIに振込まで任せてもいいですか?

私は任せていません。AIに任せるのは振込データを作るところまでで、送信や承認の前に人が金額と振込先を見ます。AIの計算は、2回やらせてそろうまで使いません。

Q. PDFの請求書は、印刷して保存すれば足りますか?

国税庁の案内では、メールで受け取ったPDFなどの電子取引データは、印刷したあとも消さずにデータのまま保存する必要があるとされています(確認日:2026-09-30)。自社の保存方法は、税理士に確認してください。

Q. 会計ソフトを入れ直すのに、補助金は使えますか?

デジタル化・AI導入補助金には、インボイス枠という枠があります。ただ、対象になるソフトや使えるかどうかは、要件と時期しだいです。概要はデジタル化・AI導入補助金2026|申請前に社長が決める3つにまとめました。申請の判断は支援機関や専門家に確認してください。

Q. 無料のAIに請求書を読ませてもいいですか?

取引先の名前や口座が載った書類を、どのAIに入れてよいかは、先に社内で決めておきます。決める項目は生成AIの社内ルールに書きました。

まとめ

  • 請求書の自動化でAIに任せるのは、読んで、表に写して、振込データを作るところまで
  • 決まった形の処理は会計ソフトや銀行の機能に任せ、形がばらばらの書類を手で写している部分にAIを足す
  • 送信・振込の前の確認は人が残し、元の請求書の保存と税の判断は国税庁の案内を確かめたうえで税理士に確認する

次の一歩として、先週届いた請求書のPDFを1枚だけ、上の頼み方で表に写させて、元の請求書と突き合わせてみてください。

出典・参考

この記事で触れた道具

  • Misoca(弥生)

    見積書・納品書・請求書・領収書をテンプレートで作り、メール送信・郵送・PDFで送れる請求書作成ソフト。弥生・freee・マネーフォワードの会計ソフトへ仕訳を連携できる

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