外注費のAI削減で内製にしていいもの・ダメなもの。記帳は外に残した
元役員(年商1億→20億)中小企業7社の顧問AI導入のコンサル10件
外注費をAIで減らせるのは、毎週か毎月くり返していて、やり方を言葉で説明でき、お金が動くなら最後の確認を人が残せる仕事です。逆に、決算とつながっている記帳のように、社内に戻すと誰かの時間がそのぶん消える仕事は、外に残したほうが安いことがあります。年商1億円の会社を7年で年商20億円まで育てた元役員として、いま顧問先で使っている「棚おろし → 判定 → 数字にする」の3段階を書きます。
外注費をAIで減らせるかは、3つの段階で決まる
減らせるかどうかは、道具ではなく順番で決まります。私が顧問先で使っているのは次の3段階です。
- 棚おろし: 外注している仕事と、社長が自分でやっている作業を全部並べる
- 判定: 1行ずつ、AIで社内に取り込めるか、外に残すかを決める
- 数字にする: 取り込むと決めたものについて、浮く金額と時間を計算する
いきなり「このAIで何が減らせるか」から考えると、道具に合わせて仕事を探すことになります。私は以前、先に道具を決めてから使い道を探す順番で入れて、結局使わなかったことがあります。それで今は、仕事の一覧から始めています。
段階1:外注している仕事を、1枚に並べる
材料は、通帳とクレジットカードの明細、外注先からの請求書です。毎月同じ相手に払っている行を拾っていきます。
列は次の6つにします。
| 列 | 書くこと | 例 |
|---|---|---|
| 外注先 | 頼んでいる相手 | 制作会社、会計事務所、デザイナー |
| 仕事の中身 | 「経理」ではなく、何をしてもらっているかを1行で | ホームページのお知らせを差し替える |
| 月額・年額 | 月額の隣に年額を書く | 月1万円 → 年12万円 |
| 頻度 | 毎週・毎月・年に数回 | 月1〜2回 |
| 社内の手間 | 頼むため・受け取るために、社内の誰が月何分使っているか | 社長が依頼と確認で月30分 |
| 止めたら誰がやるか | 名前を書く。書けなければ空欄のまま | (空欄) |
いちばん効くのは年額の列です。月5,000円は小さく見えますが、年6万円と書くと見え方が変わります。
外注していない「社長の作業」も並べる
外注費を減らす話でも、社長が自分でやっている作業を一緒に書き出します。AIで取り込める仕事は、外注している仕事より、社長が毎週黙ってやっている作業のほうに多いからです。
書き方は3列です。作業名、かかった時間、自分がやっている理由。作業名は「経理」ではなく「請求書を見て、振込データに金額を打ち込む」まで細かく書きます。予定表を見ながら書くと会議と訪問しか出てこないので、1週間、終わった作業をその日のうちに書き足していきます。
段階2:内製にしていいもの・ダメなものを判定する
並べた行に、上から4つの条件を当てます。4つともそろった仕事から、AIで社内に取り込む候補にします。
| 条件 | 見るところ |
|---|---|
| 毎週、または毎月くり返している | 年に数回の仕事は、やり方を思い出すところから始まるので後回し |
| やり方を人に説明できる | 説明できない仕事は、まだ渡せない。先に口で説明して録音し、文字にする |
| 社長か幹部がやっている、または社長が窓口になっている | 社長の時間が戻る仕事から手をつける |
| お金や人が動く仕事なら、最後の確認を人が残せる | AIに任せるのは作るところまで。確認は人が持つ |
外に残したほうがいい仕事
次のどれかに当たる仕事は、AIで取り込めそうに見えても、外注のままにする判断をしています。
- 決算とつながっている仕事。 記帳が代表です。月々の記帳だけ社内に戻しても、決算でやり直しが出るなら、戻した意味が薄くなります
- 社内に戻すと、誰かの時間がそのぶん消える仕事。 人の時間の値段のほうが高くつくなら、外に出したままのほうが安い
- 止めたあと、誰がやるかが決まらない仕事。 名前が書けないまま契約だけ切ると、困るのは自社です
- デザインに強いこだわりがある仕事、写真撮影のように人の手が要る仕事
- 専門家の判断そのものが要る仕事。 税や労務、契約の判断は、税理士・社会保険労務士・弁護士の領域です
段階3:浮く金額と時間を、数字にする
取り込むと決めた仕事は、始める前に数字にします。見るのは外注の年額だけではありません。
浮く金額(年)= 外注の年額 −(AIの利用料の年額 + 社内で増える時間 × 12か月 × その人の時給) 戻る時間(月)= 社長や幹部が、その仕事の依頼・待ち・確認に使っていた時間 − 取り込んだあとに社長や幹部が使う時間
たとえば、仮の数字で計算するとこうなります。外注が月3万円(年36万円)。社内に取り込むと、担当者の確認が月4時間増え、その人の時給を2,000円とすると年9万6,000円。AIの利用料を仮に年4万円とすると、浮く金額は年22万4,000円です。
同じ計算で、社内で増える時間が月15時間なら、増える人件費は年36万円になり、浮く金額はマイナスになります。この場合は外に残したほうが安い、という判断になります。
AIの利用料は、たとえばClaude Proなら月払いで月20ドルです(公式の料金ページの表示額。円の請求額は為替と税で変わります)。まずは社長か、いちばん作業を抱えている人の1人分から始めれば足ります。
どれから手をつけるか:月3万円か、週5時間
一覧が20行を超えると、全部を一度に見直そうとして止まります。私が入口にしている目安は2つです。
- その仕事に、月3万円(年36万円)以上かかっている
- 社内の誰かが、その仕事のために週5時間以上使っている
どちらかに当たるものから始めます。どちらにも当たらないものは、今年は触らなくていいと思っています。月20ドルを払って月30分しか戻らないなら、その30分は別の場所から取るほうが早いからです。
止める前に「止めたあと、誰がやるか」を決める
外注を止めるのは、最後です。先に、止めたあとにその仕事を誰がやるかを決め、AIで回る状態を作ってから契約を止めます。
ここが逆になると、たいてい元に戻ります。契約を解除できるか、違約金がどうなるか、税や会計の扱いがどうなるかは、その契約に詳しい専門家に確かめてください。
分野ごとの見直し方は、別の記事に分けています。毎月の月額サービスは会社のサブスク見直しは明細から、ホームページの保守はホームページ保守費用の相場と、月1万円の中身を確かめる質問リストに書きました。AIを入れる順番そのものは中小企業のAI導入は何から始めるかにまとめています。
よくある質問
Q. 外注費はAIでどれくらい減らせますか?
会社と仕事によって違うので、一律の割合は出せません。棚おろしをして、4つの条件がそろった仕事だけを数字にしてみるのがいちばん確かです。例として、顧問先のHP保守の外注費が月1万円から0円になったことがあります。
Q. 記帳代行はAIに置き換えられますか?
私は、決算とつながる記帳は外注のままにする判断を出したことがあります。月々の入力だけ社内に戻しても、決算でやり直しが出るなら意味が薄いからです。税の判断は税理士の領域なので、置き換える前に顧問の税理士に相談してください。
Q. AIに任せて、間違いが出たらどうしますか?
お金や人が動く仕事は、AIに任せるのは作るところまでにして、最後の確認は人が残します。確認できる形にできない仕事は、まだ取り込まない判断をしています。
Q. 内製にすると、社員の仕事が増えませんか?
増える場合があります。だから「社内で増える時間 × 時給」を計算に入れます。増える時間の値段が外注費を上回るなら、外に残すほうが安いです。
まとめ
- 外注費をAIで減らすときは、道具からではなく、外注と社長の作業を1枚に並べる棚おろしから始める
- 4つの条件がそろった仕事だけを取り込み、決算とつながる記帳などは外に残す
- 「外注の年額 −(AIの利用料+社内で増える時間の値段)」で浮く金額を出し、止める前に止めたあと誰がやるかを決める
次の一歩は、先月の通帳とカードの明細を開いて、外注先に払っている行に印をつけることです。
出典・参考
- Plans & Pricing|Claude(確認日:2026-09-30。Proは月払いで月20ドル、年払いで年200ドル)
無料
外注ムダ診断チェックリスト
外注している仕事と、社長が自分でやっている作業を5分で書き出せるチェックリストです。LINEの友だち追加だけで届きます。売り込みはしません。
お申し込み方法と詳しい条件は、LINEでご案内しています。友だち追加だけ・いつでもブロックできます。