補助金・外部の力の借り方

デジタル化・AI導入補助金2026|申請前に社長が決める3つと次の締切

元役員(年商1億→20億)中小企業7社の顧問AI導入のコンサル10件

デジタル化・AI導入補助金2026は、IT導入補助金の名前が変わったものです。AI専用の枠はなく、AIだから補助率が上がるわけでもありません。ホームページ制作、オーダーメイド開発、経営全般のコンサル費は対象外です。

私は年商1億円の会社を7年で年商20億円まで育てた元役員で、現在は中小企業7社の顧問です。以前、助成金で入れたAIを一度も使わなかったことがあります。この記事では、制度の要点と次の締切、そして申請の前に社長が決めておく3つを書きます。

デジタル化・AI導入補助金2026とは? 旧IT導入補助金の新しい名前です

中小企業や小規模事業者が、業務のソフトやクラウドを入れる費用の一部を国が補助する制度です。2026年度から、IT導入補助金という名前が「デジタル化・AI導入補助金」に変わりました。

事務局の説明では、名前を変えたのは、ツールを入れるだけでなく、もう一歩進んだデジタル化とAIの活用が大事だと広く知らせるためです。事業としての名前は「中小企業デジタル化・AI導入支援事業」で、中小企業基盤整備機構が実施し、TOPPAN株式会社が事務局を運営しています。

枠は5つあります。補助額と補助率は、事務局のお知らせ(2026年1月23日更新)で次のとおりです。

枠補助額補助率
通常枠業務プロセス1〜3つ:5万〜150万円/4つ以上:150万〜450万円1/2以内(最低賃金近傍の事業者は2/3以内)
インボイス枠(インボイス対応類型)ソフト:〜350万円(機能が1つだけなら〜50万円)/PC・タブレット等:〜10万円/レジ・券売機等:〜20万円ソフトの補助額が50万円以下の部分:3/4以内(小規模事業者は4/5以内)/50万円超〜350万円以下:2/3以内/PC・レジ等:1/2以内
インボイス枠(電子取引類型)〜350万円2/3以内(大企業は1/2以内)
セキュリティ対策推進枠5万〜150万円1/2以内(小規模事業者は2/3以内)
複数者連携デジタル化・AI導入枠複数の事業者がまとまって申請する枠。対象経費の合計の上限は3,000万円経費の種類ごとに決まっている(多くは2/3以内)

補助額は「補助金として出る額」の上限です。消費税は補助の対象外です。

AIだから補助率が上がる? 上がりません

上がりません。公式の概要で、AIについて変わった点として書かれているのは、ツール検索で「AI機能のあるツール」を絞り込めるようになったことと、そのツールにAIツールだと表示されるようになったことです。

表示されるのは、ツールを登録するIT導入支援事業者(補助金の対象ツールを売る登録業者)が「AI機能あり」と申請したものだけです。補助率は上の表のとおり枠ごとに決まっていて、AIかどうかで変わる記載はありません。公募要領では、補助の対象になるソフトに「AIを含む」と書かれています。つまりAIのツールも、ほかのソフトと同じ決まりで扱われます。

対象外になるもの:HP制作、オーダーメイド開発、コンサル費

AIの話と一緒に出てきやすいものほど、対象外に入っています。ITツール登録要領(2026年5月15日改訂)と公募要領(通常枠、2026年8月28日改訂)で確認した主なものを並べます。

対象外になるもの公式資料での書かれ方(要約)
ホームページ制作ホームページ・サイト・WEBアプリ・スマホアプリなどの制作で、追加開発の費用が入っているもの。ホームページ制作ツールで作った簡単な仕組みも対象外
オーダーメイド開発スクラッチ開発(一から作る開発)を伴うソフト。特定の顧客向けで、一般に売られていないもの
大幅なカスタマイズ業務のやり方に影響するような大幅な作り込みが必要なもの
経営全般のコンサルツールの導入と関係のない、業務そのものや経営全般へのコンサル費
申請の代行補助金の申請代行費、申請に関するコンサル費
交付決定前の契約交付決定の前に契約・発注・購入したもの
その他消費税、交通費・宿泊費、リース・レンタル(一部を除く)、中古品

「うちの業務に合わせてAIを作ってもらう」「AIの顧問に相談料を払う」は、この補助金では払えないと考えておくのが安全です。AI参謀の顧問料も、この補助金の対象にはなりません。

一方で、登録されたツールとセットになった導入や活用の支援(使い方を定着させるための支援など)は、対象になる場合があります。どこまでが対象かは、ツールごとに登録の内容で決まります。

申請の前に、社長が決めておく3つ

制度を調べる前に、社内で決めておくことが3つあります。私自身の失敗では、ここが決まらないまま入れたものを、一度も使いませんでした。

1. これで、誰の、どの作業が消えるか

最初に決めるのは、消したい作業を1つです。「業務の効率化」ではなく、「社長が毎週やっている、請求書を見ながら振込データを打ち込む作業」のように、人と作業まで書きます。

この1行が書けないなら、ツールがどれだけよくできていても、使われない可能性が高いと私は考えています。消す作業の選び方と始める順番は、中小企業のAI導入は何から始めるかにまとめました。

2. 毎日、誰が、どの場面で開くか

入れたツールを開く人と、開く場面を決めます。「必要なときに見る」では、忙しい月に開かれなくなります。

請求書が届いたら振込の作業が始まる、問い合わせが来たら返信の場面になる、というように、すでにある仕事の流れにくっつけられるかを見ます。触る人が1人だけだと、その人が忙しくなった時点で止まります。2人目が誰かも決めておきます。

3. 補助がなくても、この金額を払うか

補助率が1/2なら、残りの半分は自社の負担です。しかも流れは、交付決定のあとに契約して代金を払い、実績報告を出してから補助金が振り込まれる順番です。先に全額を払うお金が必要になります。

交付決定の前に契約や発注をすると、補助の対象になりません。導入後は、事務局への効果報告もあります。「補助が出るなら入れる」ではなく、「自社の負担分を払ってでも消したい作業か」で決めます。

次の締切はいつ? 2026年10月30日(金)17:00です

2026年9月30日に公式の事業スケジュールを開いたところ、確定している募集回は次の1回でした。5つの枠とも同じ日程です。

項目日程
申請の締切2026年10月30日(金)17:00
交付決定2026年12月10日(木)予定
事業の実施期間交付決定〜2027年5月31日(月)17:00予定
実績報告の期限2027年5月31日(月)17:00予定

スケジュールのページには「確定している募集回のスケジュールのみ公表」とあり、その後の回は、この日の時点では載っていませんでした。次の回は公式ページで確かめてください。

申請には、国の共通の認証である「GビズIDプライム」を取っておく必要があります。まだの会社は、ここから確認します。

申請の流れと、誰が何をするか

この補助金は、IT導入支援事業者と一緒に申請します。公募要領にある流れを、社長がやることに絞って並べます。

  1. GビズIDプライムを取り、IT導入支援事業者に相談する
  2. ツールを選び、見積もりをもらう(まだ契約しない)
  3. IT導入支援事業者から申請用のページに招待され、自社で開設する
  4. 申請の内容をIT導入支援事業者と作り、自社で確認して提出する
  5. 交付決定を受けてから、契約・導入・支払いをする
  6. 実績報告を出す。補助金の額が決まり、振り込まれる
  7. 導入後、効果報告を出す

よくある質問

Q. デジタル化・AI導入補助金とIT導入補助金の違いは?

2026年度から名前が変わった、同じ流れの制度です。公式の概要では、主な変更点として、名前の変更、過去に交付決定を受けた会社の申請要件の追加、AI機能のあるツールを検索で絞り込めるようになったことが挙げられています。

Q. ChatGPTのような月額のAIは対象になりますか?

対象になるのは、事務局に登録されたツールだけです。使いたいツールが登録されているかは、公式サイトのITツール検索で確かめます。

Q. AIの顧問料やコンサル費は補助されますか?

ツールの導入と関係のない、経営全般へのコンサル費は対象外です。登録されたツールとセットの導入・活用の支援は、対象になる場合があります。

Q. 先に契約してから申請してもいいですか?

できません。交付決定の前に契約・発注・支払いをしたものは、補助の対象になりません。

Q. AI機能のあるツールを選ぶと有利になりますか?

公式の資料では、AIだから補助率が上がる、AI専用の枠がある、という記載は見つかりませんでした。選ぶ基準は、AIかどうかより「どの作業が消えるか」だと私は考えています。

まとめ

  • デジタル化・AI導入補助金2026は旧IT導入補助金。AIで補助率は上がらない
  • ホームページ制作、オーダーメイド開発、経営全般のコンサル、申請代行の費用は対象外
  • 申請前に「誰の、どの作業が消えるか」「誰がどの場面で開くか」「補助がなくても払うか」を決める

次の一歩として、10月30日の締切を考えている社長は、消したい作業を1行で書いてから、IT導入支援事業者に相談してください。

出典・参考

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