コンサル転職

コンサル転職、内定をもらって私が行かなかった理由。事業会社出身が確かめること

コンサル転職は、事業会社で積んだ実務を他社の現場で生かしたいかで決めると迷いにくい。総合系の内定を断って独立した元役員が、発注する側の経験と、市場・年収・選考の一次情報からまとめました。

コンサルに転職するかどうかは、「事業会社で積んだ実務を、他社の現場で生かしたいか」で決めると迷いにくくなります。私は年商1億円の会社を7年で年商20億円まで育てた元役員で、2026年の転職活動で総合系のコンサル会社から内定をもらいました。それでも行かずに、独立を選びました。このページでは、コンサルに仕事を頼む側だった経験と、市場・年収・選考の一次情報をもとに、事業会社出身の人が確かめておくことをまとめます。

コンサル業界は伸びている。でも、人が足りていない

調査会社のIDC Japanによると、国内のビジネスコンサルティング市場は2024年に7,987億円で、前の年より10.8%増えました。2029年には1兆2,832億円になると予測しています。伸びの理由には、企業のAIの導入と活用、官公庁や自治体からの需要が挙げられています。

一方でIDCは、市場が伸びるうえで最大の壁は「デリバリー人材の不足」だとも書いています。仕事はあるのに、それをこなす人が足りない状態です。

ただ、採用が一律に増えているわけではありません。

会社公表されている数字
ベイカレントコンサルタント数 4,784名 → 5,590名(16.8%増)。案件数も20.7%増。理由は「DXに加えて生成AI関連を中心としたコンサルティング需要」(2026年4月の決算説明会資料)
デロイト トーマツ グループ中途採用 2,421人 → 2,050人(Impact Report 2024と2025。監査や税務も含むグループ全体の数字)
アビームコンサルティング正規雇用に占めるキャリア採用の比率 74.5%(2022年度)→ 52.5%(2024年度)

伸びている会社もあれば、中途採用を絞っている会社もあります。「コンサルは今どこも採用している」と一括りにせず、受ける会社ごとに確かめる方が安全です。

年収は高い。ただ、勤続は短く、年によって上下もする

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、経営コンサルタントの年収は1,134.6万円、平均年齢は39.4歳です(令和7年賃金構造基本統計調査)。国税庁の調査で、全国の給与所得者の平均給与は487万円なので、約2.3倍です。ただし、job tag自身が「その職業だけの統計ではない」と注記しています。

上場しているコンサル会社の有価証券報告書(会社単体の従業員の数字)も見ておきます。

会社決算期平均年齢平均勤続平均年間給与
ベイカレント2026年2月31.3歳3.8年1,331万円
野村総合研究所2026年3月39.7歳13.7年1,333万円
ドリームインキュベータ2026年3月34.61歳3.76年1,221万円
ライズ・コンサルティング・グループ2026年2月33.2歳2.3年1,108万円
シグマクシス2026年3月34.5歳5.0年1,067万円(前の年より16.0%減)

読むときの注意が3つあります。

  1. ベイカレントは持株会社の数字で、コンサルタントの多くがいる子会社の数字ではありません。野村総合研究所は、社員の大半がIT部門です
  2. 平均勤続が短いのは、辞める人が多いからだけではありません。急に人を増やした会社は、入ったばかりの人が多いので短くなります
  3. シグマクシスは、平均年間給与が前の年より16.0%下がりました。有価証券報告書には、上位の職位のボーナスと株式報酬を大きく減らしたためとあります。成果に連動する部分が大きいと、年によって動きます

内定のときは、年収の総額だけでなく、固定と変動の内訳を確かめてください。

事業会社出身でも応募できる。ケース面接は全員ではない

コンサル未経験でも応募できると、公式に書いているファームは複数あります。

  • KPMGコンサルティング:「コンサルタント未経験の方でもご応募いただけます」
  • デロイト トーマツ:よくある質問で、異業種・未経験でも「応募可能です」
  • PwCコンサルティングの戦略・変革の求人:コンサル未経験から入社した社員は「約4割程度」

ケース面接(その場で課題を出され、考え方を説明する面接)も、全員に課されるわけではありません。BCGはクライアントを担当する職、アクセンチュアは一部の部門や職種で実施すると書いています。デロイトは、求人や経験によって「実施される場合がある」としています。市場規模を推計する問題(いわゆるフェルミ推定)を公式ページに明記していたのは、今回調べた中ではローランド・ベルガーだけでした。

厚生労働省のjob tagは、大企業で専門業務を経験した後にコンサルへ移る場合、「学歴よりも、どのような専門業務を経験してきたかという職歴が重視される」と書いています。

頼む側から見た、コンサルの成果

ファームの公式サイトに載っている社員の声を読むと、事業会社から移った人が評価された点は、私の実感と重なります。

前の仕事評価された点(各社の公式サイトの社員インタビューより)
事業会社の人事・総務(アクセンチュア)お客様から「本当によくその業務や課題のこと分かっていますね」と言われる
製造業(PwC)工場の現場を知っていること
自動車部品(EY)調達から販売までのモノづくりを知る視点
事業会社(アビーム)お客様の立場が分かり、先回りして動ける

一方で、苦労した点としては、思考のスピードや資料の水準、数か月ごとにお客様もテーマも変わるスピード感が挙がっています。事業会社の実務を知っていることは、ファームの中でも武器になる。ただ、それを短い期間で形にする力が別に求められる。そう読めます。

AIコンサルも、現場を知らないと使われない

これは、頼む側だった私たちの失敗でもあります。何を消したいのかを、現場で決めないまま頼んでいたからです。この話はAI導入の失敗事例に詳しく書きました。

公的な調査も、似た傾向を示しています。情報処理推進機構(IPA)の「DX動向2026」では、AIを導入した企業が挙げた効果の中身は「業務が効率化したり迅速化した」が91.6%で、「売上や利益が向上した」は3.9%でした。PwCの2026年春の調査では、生成AIの効果が「期待を大きく上回る」と答えた企業は日本が9%で、米国の38%を大きく下回っています。

AIを入れること自体は、もう難しくありません。難しいのは、どの作業を消せば売上や利益につながるかを決めることです。そこは、現場で事業を回してきた経験から出てきます。

私が内定を断って、独立した理由

厚生労働省のjob tagには、経営コンサルタントについて「他の業界での経験を活かして参入することもできる職業」「実力と実績があれば独立開業の可能性もある」とあります。働いている人へのアンケートでは、自営・フリーランスが43.4%でした。コンサルの仕事は、ファームに入ることだけが入り口ではありません。

コンサル転職を考えるなら、確かめておくこと

確かめること見る場所なぜ大事か
自分の武器は何か自分の経歴評価されるのは、どんな専門業務をしてきたか。業界や業務の現場を知っていることが強みになる
どの種類のファームか各社の採用ページ戦略・総合・IT・業務などと一般に呼び分けられる。業界の公式な定義はないので、仕事の中身で確かめる
年収の内訳内定時の条件固定と変動の割合。成果連動の部分が大きいと、年によって上下する
入った後の育て方社員インタビュー・面接研修、最初の数か月の付き方、相談できる人がいるか
選考の形各社の採用ページ・エージェントケース面接の有無は会社と職種で違う

よくある質問

Q. コンサル未経験・事業会社出身でも、コンサルに転職できる?

応募はできます。KPMGコンサルティングやデロイト トーマツは、未経験でも応募できると公式に書いています。PwCコンサルティングの戦略・変革の求人では、未経験から入社した社員が約4割とされています。

Q. ケース面接やフェルミ推定は、全員に出る?

全員ではありません。ケース面接は、BCGはクライアントを担当する職、アクセンチュアは一部の部門や職種と、会社と職種で違います。フェルミ推定を公式に明記していたのは、今回調べた中ではローランド・ベルガーだけでした。

Q. コンサルに転職すると、年収は上がる?

公的な統計では、経営コンサルタントの年収は1,134.6万円で、全国平均の約2.3倍です。ただ、成果に連動する部分が大きい会社では、年によって下がることもあります。シグマクシスは前の年より16.0%下がりました。内訳を確かめてください。

Q. AIで、コンサルの仕事は減る?

分かりません。ベイカレントの決算説明会資料には、投資家からの「AIの進化でコンサル需要が減るのでは」という懸念が載っています。一方で、同じ資料では生成AI関連の需要で案件数が20.7%増えています。私の実感では、現場を知らずにAIの知識だけで提案する仕事は、厳しくなっていくと思います。

まとめ

  • コンサル市場は伸びているが、人が足りない。採用の増減は会社ごとに違う
  • 事業会社出身でも応募できる。評価されるのは、現場と業務を知っていること
  • 頼む側から見ると、成果はコンサルタント個人で大きく変わった。事業会社の実務経験は、ファームに入っても、独立しても武器になる

次の一歩は、自分の経歴から「この業務の現場なら、誰よりも分かる」と言えるものを1つ書き出すことです。それが、コンサルに行くにしても行かないにしても、判断の軸になります。

転職活動そのものの意味は転職しなくても転職活動はしていいに、スカウト型とエージェント型の使い分けはハイクラス転職は30代半ばから厳しい?に書きました。

出典・参考

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