「もう無理かも」と思いながら、今日をなんとか終えた人。おつかれさまです。1年目がつらいのは、あなたが弱いからではありません。新人の1年は、国のガイドラインでも「1年かけて身につけていく時期」とされています。そのうえで大事なのは、順番です。心と体が先。資格は逃げません。壊れる前なら、続けることも、部署を変えることも、職場を変えることも、自分で選べます。
なぜ、1年目はこんなにつらいのか
厚生労働省の新人看護職員研修ガイドラインには、新人の時期に身につけるのは「複数の患者を受け持ち、多重課題を抱えながら、看護を安全に提供する力」だと書かれています。学校では学びにくいことです。
ガイドラインは、就職して1か月ごろを「リアリティーショックの状況などを把握し、サポートが必要な時期」の例として挙げています。学校と現場のちがいに苦しくなるのは、はじめから想定されていることなのです。
新人研修は、病院の努力義務
2009年の法改正で、2010年4月から、病院などは新人看護職員研修を行い、研修を受ける機会を確保するよう努めることになりました。
ガイドラインには、こう書かれています。
- 指導する人だけでなく、部署のスタッフ全員で新人を見守り、何重ものサポート体制を作ることが望ましい
- 新人の不安をやわらげるために、職場になじむためのサポートや、メンタルサポートの体制づくりが必要
- 評価する人は、新人と一緒に考え、励ます姿勢で評価する
新人を支える役として、そばで教える「実地指導者」、部署の研修をまとめる「教育担当者」(各部署に1人以上が望ましい)、研修全体の責任者の「研修責任者」が例に挙げられています。
怒られ続けて、ひとりで抱えているなら、あなたの力が足りないのではなく、支える仕組みがうまく働いていないのかもしれません。
数字で見ると
日本看護協会の2025年の病院の調査では、2024年度に新卒で採用された看護職員(正規雇用)の離職率は8.4%でした。
採用された年度のうちに辞めた新卒の看護師がいる病院に、看護管理者が考える主な理由を聞くと(5つまでの複数回答)、こうなっていました。
| 看護管理者が考える主な退職理由 | 割合 |
|---|---|
| 健康上の理由(精神的な病気) | 54.6% |
| 看護職員としての適性への不安 | 46.6% |
| 看護を実践する力への不安 | 44.2% |
| 上司・同僚との人間関係 | 27.0% |
心をこわしたり、「自分は向いていない」と思ったりして辞める人が多いと、看護管理者は見ています。だからこそ、こわれる前に手を打つことが大事です。
同じことで怒られるとき、今日からできること
同じことで何度も怒られるとき、原因は「手順のどこかがずれている」か「教える人によって言うことが違う」ことがあります。あなたの人柄の問題とは限りません。
- 怒られたことを、その日のうちに1行メモする(いつ・何を・次はどうするか)
- 同じ注意が2回来たら、教育担当者に「手順を一度、一緒に確認させてください」と頼む
- 教える人によって言うことが違うときは、「どのやり方に合わせればいいですか」と教育担当者に聞く
お忙しいところすみません。 ○○の手順で、同じところを何度か注意されています。 自分のやり方のどこがずれているのか分からないので、一度、一緒に確認していただけますか。
心と体が先
眠れない、食べられない日が続く。そんなときは、仕事を覚えることより、休むことを先に考えてください。
- 働く人のこころの相談:厚生労働省の「こころの耳」に、電話・SNS・メールで相談できる窓口がある
- 「消えてしまいたい」と思うほどつらいとき:厚生労働省の「まもろうよ こころ」に、電話やSNSで話せる窓口がまとめられている
- 体や心の不調が続くとき:医療機関を受診する。休むかどうかは、医師と相談して決めていい
壊れる前に、選べること
| 選べること | どんなときに |
|---|---|
| 今の部署で続ける(話す相手を変える) | 教育担当者や研修責任者に話せば、変わりそうなとき |
| 部署を変えてもらえないか聞く | 病棟や科の忙しさ・雰囲気が合わないとき |
| 休む | 眠れない・食べられない日が続くとき |
| 職場を変える | 心と体が限界に近いとき。体制が変わる見込みがないとき |
どれを選んでも、失敗ではありません。辞めると決めたときの進め方は、「辞めないで」と言われたときのページにまとめています。
次の職場を考えるなら、確かめること
| 確かめること | 聞き方の例 | なぜ |
|---|---|---|
| 教育の体制 | 「経験の浅い人には、どんな形で教えてもらえますか」 | 教える人が決まっているかで、安心感が変わる |
| 相談できる人 | 「困ったとき、誰に相談すればいいですか」 | ひとりで抱えない仕組みがあるか |
| 若手の人数 | 「1〜3年目の方は、何人くらいいますか」 | 同じ立場の人がいると、話せる |
| 長く働いている人 | 「ここ数年で入った方は、今も働いていますか」 | 人が定着しているかが分かる |
| 夜勤に入る時期 | 「夜勤に入るのは、入職して何か月後くらいですか」 | 慣れる前に夜勤が来ないか |
どこに相談するか
- 今の職場のこと:教育担当者・研修責任者・師長。言いにくければ、職場のハラスメント相談窓口や、各地の総合労働相談コーナー(無料)
- 心と体のこと:こころの耳、医療機関
- 次の職場のこと:看護師の転職サイト(担当者がつく紹介会社)、求人サイト、ナースセンター(都道府県の看護協会の無料の職業紹介)
このページの悩みなら、選ぶときは「すぐ転職しなくても、話を聞いてもらえるか」と「新人への教育や人間関係を、入る前に確かめられるか」を見てください。
転職サイトの比べ方は、看護師の転職サイトの選び方・比べ方にまとめています。
よくある質問
Q. 1年目で辞めたら、次はない?
求人サイトに載っている求人には、応募の条件に「臨床経験2年以上」「3年以上」と書かれたものもあります。経験を積むと、応募できる求人が増えることはあります。一方で、求人サイトのジョブメドレー(看護師の求人)には「新卒可」「未経験可」の検索条件があり、経験が浅くても応募できる求人はあります。「1年は我慢しないと」と、自分を追いこみすぎないでください。
Q. 同じことで怒られるのは、向いていないから?
そうとは限りません。ガイドラインは「1年以内」に身につける目標を示したうえで、職場で経験する機会が少ない項目は、身につけるのが2年目以降になることもあり得る、としています。今できないことは、まだ途中なだけかもしれません。
Q. 2年目なのに、まだつらい
2年目でも、つらいならつらいでいいです。考え方は1年目と同じで、心と体が先。話す相手と、メモから始めてください。
まとめ
- 1年目がつらいのは、あなたが弱いからではない。1年かけて身につける時期
- 怒られ続けるときは、メモを取り、教育担当者に一緒に確認してもらう
- 眠れない・食べられない日が続くなら、心と体が先。壊れる前なら、選べる
次の一歩:今夜は、何も決めなくていいです。明日、怒られたことがあったら、1行だけメモしてみてください。眠れない日が続いているなら、先に「こころの耳」の相談窓口を開いてみてください。
出典・参考
- 平成22年4月から新人看護職員研修が努力義務となります(厚生労働省 政策レポート)(確認日:2026-10-02)
- 新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】(厚生労働省・平成26年2月)(確認日:2026-10-02)
- 2025年 病院看護実態調査 報告書(日本看護協会)(確認日:2026-10-02)
- 相談窓口案内|こころの耳(厚生労働省)(確認日:2026-10-02)
- まもろうよ こころ(厚生労働省)(確認日:2026-10-02)
- ハラスメントに関する法律と防止のために講ずべき措置|あかるい職場応援団(厚生労働省)(確認日:2026-10-02)
- 総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)(確認日:2026-10-02)
- eナースセンター(都道府県看護協会による無料職業紹介事業)(確認日:2026-10-02)
- ジョブメドレー 看護師/准看護師の求人(株式会社メドレー)(確認日:2026-10-02)
- レバウェル看護 公式サイト(レバウェル株式会社)(確認日:2026-10-02)
- ナース専科 転職 公式サイト(株式会社エス・エム・エス)(確認日:2026-10-02)
- ナース専科 転職 よくある質問(株式会社エス・エム・エス)(確認日:2026-10-02)

