辞めると決めたら、次に迷うのが「いつ辞めるか」です。いちばんいい時期は、人によってちがいます。だから、正解を探すより、先に3つを確かめましょう。賞与(ボーナス)の支給日と在籍の条件。有給休暇の残り。次の職場の入職日。この3つが分かれば、退職日は逆算できます。そして、急がなくて大丈夫です。辞めない、もう少し続ける、と決めるのも、あなたの選択です。
「いつ辞めるか」は、3つで決まる
退職の日を決めるときに、ばらばらに考えがちなことを、3つにまとめました。

| 確かめること | どこで確かめるか | なぜ大事か |
|---|---|---|
| 賞与の支給日と、在籍の条件 | 就業規則(賃金規程など) | 支給日に在籍していることが条件の職場では、その前に辞めると受け取れないことがある |
| 有給休暇の残りと、次に付く日 | 給与明細、勤怠のシステム、事務の担当者 | 退職日をすぎると使えなくなる。残りの日数で、最後に出勤する日が変わる |
| 次の職場の入職日 | 次の職場(内定先) | すき間があるかどうかで、健康保険・年金の手続きが変わる |
退職を申し出る期限(「1か月前まで」など)も、就業規則に書いてあります。申し出の期限と、引き止められたときの伝え方は、「辞めないで」と言われたときのページにまとめています。
「規定だから半年前」と言われたら
動画の第21話で、みおは退職したい日の2か月前に伝えたのに、師長に「半年前に言うのが規定。秋まで待って」と言われました。「就業規則なんて見なくていいから」とも。事務で実際に就業規則を見せてもらうと、書いてあったのは「1か月前までに申し出ること」でした。
言われた「規定」は、自分の目で確かめてください。
- 就業規則を見せてもらう:事務や人事の担当者に「就業規則の退職のところを見せてください」と頼む。就業規則は、働く人がいつでも見られるようにしておく決まりがある
- 申し出の期限を見る:「○か月前までに申し出ること」の書き方を、そのままメモする
- 退職日から逆算する:期限を入れて、伝える日・最後に出勤する日・退職日をカレンダーに書く
正職員(期間の定めのない雇用)は、申し出から2週間で辞められるとされています。一方で、就業規則の期限が常識の範囲なら、それに沿うほうがもめにくい、とも案内されています。くわしくは退職届を受け取ってもらえない・破られたときに書きました。
確かめること1:賞与(ボーナス)の支給日と在籍の条件
厚生労働省の「モデル就業規則」の解説には、こう書かれています。
- 賞与は、労働基準法などの法律で、設けることが義務になっているものではない
- 賞与を払う場合は、支給の時期や計算のもとになる期間などを、就業規則ではっきりさせておくことが必要
- 就業規則に「支給日に在籍している人に支給する」などの決まりを作り、期間の途中で辞めて、その日にいない人には支給しないとすることもできる
つまり、賞与の条件は、法律で全国一律に決まっているのではなく、あなたの職場の就業規則で決まります。見るところは、この3つです。
| 就業規則で見るところ | 例(書き方は職場ごとにちがいます) |
|---|---|
| 支給日 | 「○月○日に支給する」 |
| 計算のもとになる期間(算定対象期間) | 「○月○日から○月○日までの勤務をもとに計算する」 |
| 在籍の条件 | 「支給日に在籍する者に支給する」 |
就業規則は、職場がいつでも見られるようにしておくことが決まっているものです。見つからないときは、事務や人事の担当者に「就業規則を見せてください」と頼んで大丈夫です。
確かめること2:有給休暇の残り
何日もらえるか(法律で決まっている最低の日数)
有給休暇(年次有給休暇)は、働き始めて6か月続けて勤め、決められた労働日の8割以上出勤すると付きます。その後は1年ごとに増えます。フルタイムで働く人(週の所定労働時間が30時間以上など)の、法律で決まっている最低の日数はこうです。
| 勤めた期間 | 6か月 | 1年6か月 | 2年6か月 | 3年6か月 | 4年6か月 | 5年6か月 | 6年6か月以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 付く日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
有給休暇は、付いた日から2年たつと、時効で使えなくなります。使い切れなかった分は、翌年度に繰り越せます。そのため、今の残り日数は「今年付いた分+去年から繰り越した分」になっていることがあります。
職場によっては、法律より多く付けていたり、全員の付く日(基準日)を4月1日などにそろえていたりします。退職日が、次に有給休暇が付く日の前か後かで、使える日数が変わることがあります。付く日も、あわせて確かめておきましょう。
退職の前に、残りの有給休暇を使えるか
厚生労働省の「確かめよう労働条件」では、こう説明しています。
- 退職すると、退職日で有給休暇の権利はなくなる
- 退職の直前に、残りの有給休暇をすべて使って辞めたいと申請した場合、職場は時季を変えることができず、認めるほかない
- 引き継ぎのために、職場が退職日を遅らせてほしいと打診することがあるが、応じるかどうかは働く人にゆだねられている
ただ、急に長く休むと、引き継ぎが間に合わず、気まずくなることもあります。有給休暇の日数を数えたうえで、「最後に出勤する日」と「退職日」を分けて考え、早めに伝えておくと、話が進みやすくなります。
退職日:○月○日 有給休暇の残り:○日(今年の分○日+繰り越し○日) 退職日までに次に付く日(基準日)はあるか:ある(○月○日)・ない 最後に出勤する日:○月○日(退職日から、有給休暇の日数と休みの日をさかのぼって数える) 引き継ぎに使える日:○日
確かめること3:次の職場の入職日と、すき間
退職日の次の日に、次の職場に入るのか。それとも、すき間をあけるのか。ここで、健康保険と年金の手続きが変わります。ここに書くのは、一般的な仕組みだけです。あなたの場合にどうなるか、保険料がいくらかは、下の窓口で確かめてください。
健康保険と年金:すき間があるかどうかで変わる
会社や病院の健康保険と厚生年金は、退職日の次の日に資格がなくなります(資格喪失日)。
| 次の職場との間 | 健康保険 | 年金 |
|---|---|---|
| すき間なし(退職日の次の日に入職) | 新しい職場で加入する。加入の手続きは職場(事業主)が行う | 新しい職場で厚生年金に加入する。手続きは職場が行う |
| すき間あり・次が決まっていない | 次の3つから選んで、自分で手続きする:①今の健康保険を続ける「任意継続」、②住んでいる市区町村の国民健康保険、③家族の健康保険の扶養に入る | 国民年金の第1号被保険者への切り替え。退職日の次の日から14日以内に、住んでいる市区町村へ。配偶者の扶養に入る場合は、第3号被保険者の手続きになる |
協会けんぽの場合、任意継続には条件があります。
- 退職日までに、続けて2か月以上加入していたこと
- 退職日の次の日から20日以内に申し出ること
- 入れる期間は2年間。保険料は、職場が半分出していた分も自分で払うため、原則として退職時の保険料の2倍(上限あり)
国民健康保険の保険料は、世帯の人数や前の年の所得などで決まり、市区町村ごとにちがいます。保険料などを比べてから選ぶよう、協会けんぽも案内しています。
保険料は「月単位」で計算される
日本年金機構の説明では、厚生年金の保険料は月単位で計算し、資格を失った日(退職日の次の日)がある月の、前の月の分まで払います。
- 月の途中で退職した場合:その月の分の保険料は、前の職場の厚生年金ではかからない(その月の分は、次に入る年金の制度で払うことになる)
- 月の末日に退職した場合:資格を失うのは次の月の1日なので、退職した月の分まで払う。給与の締め日によっては、最後の給与から2か月分が引かれることがある
退職日が月末か、月の途中か。それで、その月の保険料を「どこで、どう払うか」が変わります。どちらが自分に合うかは、次の職場に入る日や、選ぶ健康保険によって変わります。迷ったら、年金事務所や入っている健康保険の窓口に、退職日の候補を伝えて確かめてください。
住民税:辞める月で、払い方が変わる
住民税は、前の年の所得にかかる税金です。働いている間は、6月から翌年5月までの12回に分けて、給与から引かれています(特別徴収)。辞めると、残りの払い方が変わります。
| 辞める時期 | 残りの住民税の払い方 |
|---|---|
| 6月1日〜12月31日 | 自分で納付書で払う(普通徴収)に切り替わる。本人が申し出れば、最後の給与や退職金からまとめて引いてもらうこともできる |
| 1月1日〜4月30日 | 5月31日までに支払われる給与や退職金から、残りがまとめて引かれる(その額が給与などより多い場合などをのぞく) |
| 5月 | 最後の月の分として、給与から引かれて終わる |
次の職場が決まっていれば、新しい職場で給与から引く形(特別徴収)に切り替えられることがあります。新しい職場の事務の担当者に、市区町村から届いた通知書を見せて聞いてみてください。
また、辞めた年に得た所得にかかる住民税は、翌年に払います。翌年に勤め先がない場合は、翌年の6月ごろに、市区町村から納税通知書が届きます(鹿児島市の説明より)。辞めた次の年にも住民税がかかることを、覚えておくと安心です。
退職日から逆算したスケジュール
ここまでの3つを、退職日から逆算して並べました。期限が決まっているのは、法律や制度で決まっているものだけです。それ以外の時期は、あなたの職場の就業規則と、次の職場の予定に合わせてください。
| いつ | やること | メモ |
|---|---|---|
| 退職日を決める前 | 就業規則で「退職の申し出の期限」「賞与」「退職金」を読む | 賞与は支給日・計算の期間・在籍の条件を見る |
| 退職日を決める前 | 有給休暇の残り日数と、次に付く日を確かめる | 給与明細や勤怠のシステム、事務の担当者に聞く |
| 退職日を決める前 | 次の職場の入職日の希望を決める | すき間をつくるか、つくらないか |
| 申し出の期限より前 | 上司に退職日を伝える | 伝え方は「辞めないで」と言われたときのページ |
| 最後に出勤する日まで | 引き継ぎをして、有給休暇を申請する | 「最後に出勤する日」と「退職日」は別の日になることがある |
| 退職日 | 在籍の最後の日 | 住民税の残りの払い方を、事務の担当者に確かめておく |
| 退職日の次の日 | 健康保険・厚生年金の資格がなくなる | すき間がなければ、新しい職場が加入の手続きをする |
| 退職日の次の日から14日以内 | (すき間がある場合)国民年金の切り替え | 住んでいる市区町村へ。配偶者の扶養に入る場合は手続きが別 |
| 退職日の次の日から20日以内 | (協会けんぽの任意継続を選ぶ場合)申出書を出す | 国民健康保険・家族の扶養と、保険料を比べてから |
| 離職したら | ナースセンターへの届出(努力義務) | 次の職場が決まっていても対象。くわしくは「辞めたらもったいない」と言われたときのページ |
| 入職日 | 新しい職場へ | 住民税を給与から引く形にできるか、事務の担当者に聞く |
| 翌年の6月ごろ | 辞めた年の所得にかかる住民税 | 勤め先がなければ、市区町村から納税通知書が届く |
賞与の支給日:○月○日/在籍の条件:あり・なし/計算の期間:○月○日〜○月○日 有給休暇の残り:○日/次に付く日:○月○日 退職の申し出の期限:退職日の○か月前まで(就業規則より) 次の職場の入職日:○月○日(未定) すき間:なし・あり(○日)→ ありなら、健康保険と年金の手続きを確かめる 退職日の候補:○月○日
どこに相談するか
- 有給休暇・退職日・就業規則のこと:職場の事務や人事の担当者。もめたときは、各地の総合労働相談コーナー(無料)や労働基準監督署
- 年金のこと:年金事務所、住んでいる市区町村の国民年金の窓口
- 健康保険のこと:入っている健康保険(協会けんぽ・健康保険組合・共済組合など)、市区町村の国民健康保険の窓口
- 住民税のこと:住んでいる市区町村の住民税の窓口
- 次の職場のこと:看護師の転職サイト(担当者がつく紹介会社)、求人サイト、ナースセンター(都道府県の看護協会の無料の職業紹介)
このページの悩みなら、転職サイトを選ぶときは「今の職場の退職と、次の職場の入職日の調整まで手伝ってもらえるか」と「働きながらでも進めやすい連絡の方法か」を、公式サイトで確かめてください。
転職サイトの比べ方は、看護師の転職サイトの選び方・比べ方にまとめています。
よくある質問
Q. ボーナスをもらってから辞めるのは、ずるい?
ずるくはありません。賞与を受け取れる条件は、就業規則で決められています。その条件を満たしていれば、受け取ってから退職するのは、取り決めどおりのことです。気になるなら、引き継ぎをていねいにすることで気持ちを伝えましょう。
Q. いちばんいい辞め時は、いつ?
全員に当てはまる「いちばん」はありません。職場の忙しさや人の入れかわりの時期も、職場ごとにちがいます。賞与・有給休暇・次の入職日の3つを書き出して、あなたにとって損が少なく、引き継ぎもできる日を選んでください。
Q. 有給休暇を使わせてもらえない
有給休暇は、働く人の権利です。退職の前にまとめて申請した場合、職場は退職日より後に時季を変えることはできない、と厚生労働省は説明しています。話し合っても進まないときは、各地の総合労働相談コーナー(無料・予約不要)に相談できます。
Q. 月末に辞めるのと、月の途中で辞めるのは、どちらが得?
一人ひとりで変わるため、このサイトでは判断できません。保険料の仕組みは「保険料は月単位で計算される」の章のとおりです。次の職場に入る日や、選ぶ健康保険によって変わるので、退職日の候補を持って、年金事務所や健康保険の窓口で確かめてください。
Q. まだ辞めると決めきれていない
それで大丈夫です。このページの3つを確かめておくだけでも、「辞めるならこの時期」が見えて、気持ちが少し楽になることがあります。そのうえで、続けると決めるのも、立派な選択です。
まとめ
- 「いつ辞めるか」は、賞与の条件・有給休暇の残り・次の入職日の3つで決まる
- 賞与の条件は就業規則で決まる。有給休暇は退職日をすぎると使えなくなる
- すき間があると、健康保険と年金は自分で手続き。住民税は辞める月で払い方が変わる。個別のことは窓口で確かめる
次の一歩:今日、給与明細か勤怠のシステムで、有給休暇があと何日残っているかだけ確かめてみてください。その数字が、退職日を逆算する最初の手がかりになります。
出典・参考
- モデル就業規則(令和7年12月版)第23条 年次有給休暇・第50条 賞与・第54条 退職金の支給(厚生労働省)(確認日:2026-10-02)
- 年次有給休暇|しっかり学ぼう!働くときの基礎知識|確かめよう労働条件(厚生労働省)(確認日:2026-10-02)
- 任意継続|給付と手続き(全国健康保険協会 協会けんぽ)(確認日:2026-10-02)
- 国民年金に加入するための手続き(日本年金機構)(確認日:2026-10-02)
- 会社を退職したときの国民年金の手続き(日本年金機構)(確認日:2026-10-02)
- 月の途中で入社したときや、退職したときは、厚生年金保険の保険料はどのようになりますか。(日本年金機構)(確認日:2026-10-02)
- 退職後の年金手続きガイド(日本年金機構)(確認日:2026-10-02)
- 特別徴収にかかる手続きについて|個人住民税の特別徴収推進ステーション(東京都主税局)(確認日:2026-10-02)
- 会社を退職しました。退職後の個人住民税の支払いはどうすればいいですか(鹿児島市)(確認日:2026-10-02)
- 看護師等免許保持者の届出制度(厚生労働省)(確認日:2026-10-02)
- 総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)(確認日:2026-10-02)
- ナース専科 転職 サービス紹介(株式会社エス・エム・エス)(確認日:2026-10-02)
- ナース専科 転職 よくある質問(株式会社エス・エム・エス)(確認日:2026-10-02)
- レバウェル看護 公式サイト(レバウェル株式会社)(確認日:2026-10-02)
- レバウェル看護 よくある質問(レバウェル株式会社)(確認日:2026-10-02)

