患者さんには「水分とってくださいね」と何度も言ったのに、自分は今日、水を一口も飲めていない。トイレは1回。帰り道、腰がずきっと痛む。そんな日が続いているなら、あなたの体も、患者さんと同じくらい大事にしていいのです。休憩は法律で決まっていて、腰痛は国が予防の指針を出している「仕事の問題」です。体の痛みは医療機関で診てもらうこと。休憩が取れない状態が続くなら、職場の相談窓口や労働基準監督署に相談できること。そして次の職場は、休憩の取り方・移乗の補助具・人の配置を確かめて選ぶこと。この3つを、順番に見ていきます。
なぜ、自分の体が後回しになるのか
ナースコール、急な変化、記録、次の処置。目の前の患者さんを優先していると、休憩に入るタイミングがなくなります。「自分が休むと、だれかの負担が増える」と思うと、トイレさえがまんしてしまう。
それは、あなたの要領が悪いからではありません。休憩を回せるだけの人がいるか、仕事の組み方がどうなっているか。職場のしくみの問題であることもあるのです。
休憩は、法律で決まっている
労働基準法では、職場は、労働時間が6時間をこえる場合は45分以上、8時間をこえる場合は1時間以上の休憩を、勤務の途中に与えなければなりません。

休憩は、働く人が自由に使える時間です。厚生労働省の労働局の説明では、休憩中でも電話や来客の対応をするように指示されていれば、それは休憩ではなく労働時間とみなされる、とされています。
たとえば、休憩中もPHSを持たされて、鳴ったら出るように言われている。そんな休憩は、休憩とは言えないことがあります。夜勤の仮眠も含めた休憩の決まりと頼み方は、休憩が取れない・夜勤で仮眠ゼロのときにくわしくまとめました。
夜勤の休憩は、決まりどおりに取れている?
日本看護協会の「2025年 看護職員実態調査」では、病院で働く正規雇用(フルタイム)の看護職員(管理職を除く)に、夜勤の休憩(仮眠を含む)をたずねています。
| 夜勤の形 | 決まっている休憩の平均 | 2025年9月の夜勤で、実際に取れた休憩 |
|---|---|---|
| 2交代 | 116.7分 | 90分未満だった人が25.6%(60分未満7.0%、60〜90分未満18.6%) |
| 3交代 | 65.3分 | 60分未満だった人が62.6% |
決まっている休憩の平均と、実際に取れた休憩は、答えた人の範囲が少しちがうので、そのまま引き算して比べることはできません。それでも、決まりがあっても、休憩が短くなっている人がいることが分かります。
同じ調査で「夜勤を担いやすくなる対応や条件」を3つまでたずねると、「夜勤中に十分な休憩・仮眠が確保できる」を選んだ人は35.6%でした。休憩は、続けて働くための条件の一つなのです。
腰痛は、国が予防の指針を出している「仕事の問題」
仕事が原因の腰痛は、医療や福祉の職場で多い
厚生労働省の「業務上疾病発生状況等調査」では、2024年(令和6年)に、仕事が原因で4日以上休んだ腰痛(災害性腰痛)は6,291件でした。そのうち、医療機関や社会福祉施設などを含む「保健衛生業」は2,251件(約36%)で、業種別でいちばん多くなっていました。
この数は、看護師だけでなく、介護の職場なども含んだものです。それでも、人の体を支える仕事が腰に負担をかけやすいことは、数字にも表れています。
指針は、看護・介護の作業も対象
厚生労働省は2013年(平成25年)6月に「職場における腰痛予防対策指針」を改訂し、対象を、福祉・医療分野などでの介護・看護作業の全般に広げました。指針は、職場(事業者)が取り組むことを示したものです。看護・介護の作業について、おもにこう書かれています。
| 項目 | 指針に書かれていること(要約) |
|---|---|
| 抱え上げ | 移乗・入浴・排泄の介助で、全介助の必要な人には、リフトなどを積極的に使い、原則として人の力だけで抱え上げさせない。座っていられる人にはスライディングボード、立っていられる人にはスタンディングマシーンなども検討する |
| 前かがみの姿勢 | ベッドの高さを調節する、スライディングシートを使うなどで、前かがみやひねりの姿勢を取らせないようにする。ベッドサイドの作業では、前かがみにならない高さまで電動で上がるベッドを使い、各自で高さを合わせる |
| 人の力で抱え上げるしかないとき | 身長差の少ない2人以上で行う。負担の大きい仕事が、特定の人に集中しないようにする |
| 休憩 | 適宜、休憩時間を設け、ストレッチや楽な姿勢がとれるようにする。作業中も小休止がとれるようにする |
| 休憩室 | 空調を整え、くつろげるようにする。交替勤務のある施設では、仮眠の場所と寝具を整える |
| 腰痛の健康診断 | 介護・看護作業などに常に携わる人には、配置するときと、その後6か月以内ごとに1回、医師による腰痛の健康診断を行う |
| 夜勤・長時間 | 長時間労働や夜勤で、腰に強い負担を感じている人には、勤務の形の見直しなどを検討する |
厚生労働省は、看護の職場向けに「医療保健業の労働災害防止(看護従事者の腰痛予防対策)」という資料も出しています。
今の職場で、できること
いきなり「休憩が取れません」と言うのは、勇気がいります。まずは、数字を集めるところから始めましょう。
- 記録する:2週間、休憩に入れた時間(入れなかった日も)、休憩中に呼ばれた回数、腰がつらかった場面をメモする
- 決まりを見る:就業規則で、休憩の時間と取り方を確かめる
- 伝える:師長との面談などで、記録とあわせて「どうすれば休憩に入れるか」を相談する
日付/勤務(日勤・夜勤)/休憩に入れた時間: 分(入れなかった)/休憩中に呼ばれた回数: 回/水を飲めた回数: 回/腰がつらかった場面:(例:全介助の移乗を1人で)
いつもありがとうございます。 休憩のことで、一度ご相談させてください。 この2週間、休憩に入れなかった日が○日、休憩中に呼ばれた日が○日ありました。 腰の痛みも続いていて、全介助の方の移乗を1人でする場面がつらいです。 休憩の回し方と、移乗の方法について、一緒に考えていただけますか。
動画の第24話では、みおが2週間の記録を持って「休むのも、患者さんを守る仕事だと思います」と相談し、夜勤の仮眠の順番を表にして回すことになりました。誰がいつ休むかを先に決めておくと、「取れたら取る」になりにくくなります。
話しても変わらず、休憩が取れない状態が続くときは、職場の相談窓口(人事や看護部など)や、総合労働相談コーナー、労働基準監督署に相談できます。
次の職場で確かめること
求人票には、休憩の実際や、移乗の道具までは書かれていないことが多いです。面接や見学で、ここを聞いておきましょう。
| 確かめること | 聞き方の例 | なぜ |
|---|---|---|
| 昼の休憩の取り方 | 「お昼の休憩は何分で、どうやって交代していますか」 | 決まりがあっても、回し方がないと取れない |
| 休憩中の呼び出し | 「休憩中も、PHSやナースコールの対応をしますか」 | 自由に使えない時間は、休憩とは言えないことがある |
| 夜勤の休憩・仮眠 | 「夜勤の休憩と仮眠は何分で、実際に取れていますか」 | 決まりと実際がちがうことがある |
| 移乗の補助具・リフト | 「移乗のとき、リフトやスライディングボードを使っていますか」 | 指針は、全介助の人の抱え上げにリフトなどを使うことを示している |
| ベッド | 「ベッドは、電動で高さを変えられますか」 | 前かがみの姿勢を減らせる |
| 人の配置 | 「日勤と夜勤は、それぞれ何人ですか。1人が受け持つ患者さんは何人くらいですか」 | 人が少ないと、休憩も2人での介助も後回しになりやすい |
| 腰痛への取り組み | 「腰痛の健康診断や、移乗の研修はありますか」 | 指針は、6か月以内ごとに1回の腰痛の健康診断を示している |
見学できるなら、廊下や病室にリフトや補助具が置いてあるか、スタッフが休憩室に行けているかも、見ておくと分かることがあります。面接で聞きにくいことは、担当者がつく転職サイトに確かめてもらう方法もあります。
どこに相談するか
- 体の不調のこと:整形外科などの医療機関。職場の産業医や健康管理の窓口
- 休憩が取れない・休憩中も対応させられること:師長・看護部・人事。続くときは、各地の総合労働相談コーナー(無料)や労働基準監督署
- 次の職場のこと:看護師の転職サイト(担当者がつく紹介会社)、求人サイト、ナースセンター(都道府県の看護協会の無料の職業紹介)
このページの悩みなら、選ぶときは「休憩の取りやすさや残業など、求人票にない職場の様子を確かめてもらえるか」と「日勤のみを含む常勤の求人を、条件で絞って探せるか」を見てください。
転職サイトの比べ方は、看護師の転職サイトの選び方・比べ方にまとめています。
よくある質問
Q. 休憩に入れないのは、自分の要領が悪いから?
そうとは限りません。休憩を回せるだけの人がいるか、仕事の組み方がどうなっているかで、休憩の取りやすさは大きく変わります。一人で抱えこまず、記録をつけて、師長に相談してみてください。
Q. 腰が痛いまま、夜勤を続けていい?
体のことは、このサイトでは判断できません。まず医療機関で診てもらってください。指針には、夜勤などで腰に強い負担を感じている人について、勤務の形の見直しなどを検討する、と書かれています。夜勤のない働き方は、夜勤なしで生活できるかのページにまとめています。
Q. 夜勤明けにも、体が戻らない
夜勤のあとの休み方の目安は、夜勤明けは休みじゃないときのページにまとめています。
まとめ
- 休憩は法律で決まっている。休憩中も電話などの対応を指示されている時間は、労働時間とみなされることがある
- 腰痛は、国が予防の指針を出している仕事の問題。全介助の抱え上げは、リフトなどを使うのが原則
- 体の痛みは医療機関へ。次の職場では、休憩の取り方・補助具・人の配置を確かめる
次の一歩:明日の勤務で、休憩に入れた時間と、水を飲めた回数を、スマホに1行だけメモしてください。2週間分たまると、師長に話すときの数字になります。
出典・参考
- 休憩(第34条)|栃木労働局(厚生労働省)(確認日:2026-10-02)
- 労働時間・休日・休暇に関するルール|鳥取労働局(厚生労働省)(確認日:2026-10-02)
- 職場における腰痛予防対策指針(厚生労働省・平成25年6月改訂)(確認日:2026-10-02)
- 腰痛予防対策指針の改訂について|三重労働局(厚生労働省)(確認日:2026-10-02)
- 保健衛生業における腰痛の予防(厚生労働省)(確認日:2026-10-02)
- 医療保健業の労働災害防止(看護従事者の腰痛予防対策)(厚生労働省・中央労働災害防止協会)(確認日:2026-10-02)
- 業務上疾病発生状況等調査(令和6年)第1表 業務上疾病発生状況(業種別・疾病別)(厚生労働省)(確認日:2026-10-02)
- 2025年 看護職員実態調査 報告書(日本看護協会)(確認日:2026-10-02)
- 総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)(確認日:2026-10-02)
- eナースセンター(都道府県看護協会による無料職業紹介事業)(確認日:2026-10-02)
- ナース専科 転職 サービス紹介(株式会社エス・エム・エス)(確認日:2026-10-02)
- ナース専科 転職 公式サイト(株式会社エス・エム・エス)(確認日:2026-10-02)
- レバウェル看護 公式サイト(レバウェル株式会社)(確認日:2026-10-02)

