休憩が取れないのは、あなたの要領が悪いからではありません。休憩は法律で長さが決まっていて、「取れたら取る」ものではないからです。休憩中もPHSに出るよう言われているなら、それは休憩ではなく労働時間とされることもあります。まずは2週間、休憩の実際を記録して、数字で相談するところから始めましょう。
休憩は、法律で長さと取り方が決まっている

労働基準法34条では、職場は、働く時間が6時間をこえるときは少なくとも45分、8時間をこえるときは少なくとも1時間の休憩を、勤務の途中に与えなければならないとされています。休憩は、働く人が自由に使える時間でなければなりません。守らない職場には、罰則もあります。
病院は、労働基準法の規則で「全員が同じ時間に休憩する」決まりの例外になっています。だから、交代で休憩を回すこと自体は問題ありません。ただ、交代で取るとしても、長さと、自由に使えることは、看護師にもそのまま当てはまります。
「呼ばれたら出る」休憩は、休憩ではない

厚生労働省のガイドラインでは、すぐに仕事に戻ることを求められていて、仕事から離れることが保障されていない状態で待っている時間(いわゆる「手待時間」)は、労働時間に当たるとされています。古くからの行政の通達でも、手待ち時間は休憩ではないとされています。
休憩室でごはんを食べていても、PHSを持たされ「鳴ったら出て」と言われている。そんな時間は、休憩とは言えないことがあります。
仮眠も同じです。仮眠室での待機と、警報などへの対応が義務づけられていた仮眠時間を、労働時間と判断した最高裁の判決があります(平成14年2月28日、ビル管理の仕事の事件)。看護の現場にそのまま当てはまるかは、仮眠中に何を求められているかによります。迷ったら、下の相談先で確かめてください。
夜勤の休憩と仮眠の、目安と実際
日本看護協会の「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」は、夜勤の途中に1時間以上の休憩を取ること、仮眠の時間を決めておくことを求めています。22時以降にかかり、実際に働く時間が8時間をこえる夜勤では、連続2時間以上の仮眠を検討し、夜中の0時から4時の間に取れるのが望ましい、としています。法律ではなく、守る義務まではない目安ですが、職場と話すときの物差しになります。
実際はどうか。日本看護協会の「2025年 看護職員実態調査」(病院で働くフルタイムの正職員、管理職を除く)では、次のとおりでした。
| 夜勤の形 | 決まっている休憩・仮眠の平均 | 実際に取れた時間でいちばん多かった答え |
|---|---|---|
| 3交代 | 65.3分 | 60分未満(62.6%) |
| 2交代 | 116.7分 | 90〜120分未満(32.9%) |
同じ調査で「夜勤を続けやすくなる条件」をたずねると、「夜勤中に十分な休憩・仮眠が確保できる」を選んだ人は35.6%でした。休憩は、続けて働くための条件の一つです。
今の職場で、できること
1. 2週間、記録する
日付/勤務(日勤・夜勤)/休憩に入れた時間: 分(入れなかった)/休憩中に呼ばれた回数: 回/仮眠: 分/入れなかった理由:(例:急変、入院、人が足りない)
2. 頼み方を変える
「行けたら行きます」ではなく、朝のうちに時間を決めて伝えます。「12時半から45分、休憩に入ります。その間、○号室をお願いできますか」。誰が何を見ているかを先に決めておくと、呼ばれにくくなります。夜勤なら、仮眠の順番を表にして、勤務の最初に決めておくのも一つの方法です。
3. 記録を持って相談する
いつもありがとうございます。休憩のことで、一度ご相談させてください。 この2週間で、休憩に入れなかった日が○日、休憩中に呼ばれた日が○日ありました。 夜勤の仮眠も、決められた○分を取れた日はほとんどありません。 休憩と仮眠の順番を、勤務の最初に決めて回す形にできないでしょうか。
日本看護協会のガイドラインは、取れなかった休憩の時間は時間外の勤務として扱い、割増賃金を払う必要がある、という考えを示しています。取れなかった分がどう扱われているかも、給与明細で確かめておきましょう。
それでも取れないとき
- 総合労働相談コーナー:全国の労働局や労働基準監督署など378か所にあり、無料で予約もいりません。法律違反の疑いがあれば、労働基準監督署へつないでくれます
- 労働基準監督署:法律違反は、労働基準監督署に申告できます。申告したことを理由に、不利な扱いをすることは法律で禁止されています
話しても変わらないなら、休憩がきちんと回っている職場に移ることも、自分を守る方法です。
次の職場で確かめること
| 確かめること | 聞き方の例 | なぜ |
|---|---|---|
| 日勤の休憩の取り方 | 「お昼の休憩は、交代で取れていますか。何分くらいですか」 | 決まりと実際がずれていることがある |
| 夜勤の休憩・仮眠 | 「夜勤の休憩と仮眠は何分で、実際に取れていますか。仮眠室はありますか」 | 夜勤の負担は、仮眠が取れるかで大きく変わる |
| 休憩中の呼び出し | 「休憩中は、PHSを誰かに預けていますか」 | 預ける決まりがあれば、休憩中に呼ばれにくい |
| 夜勤の人数 | 「夜勤は何人で、受け持ちは何人ですか」 | 人数に余裕がないと、休憩を回せない |
見学では、昼の時間にナースステーションを見せてもらうと、休憩が回っているかが分かりやすくなります。
よくある質問
Q. 休憩中にナースコールが鳴ったら、出なきゃいけない?
休憩中の対応を指示されているなら、その時間は休憩ではなく労働時間とされることがあります。誰が代わりに出るかを、休憩に入る前に決めておくのがいちばん確かです。
Q. 休憩を取ると、評価が下がらない?
休憩は、職場が与えなければならないものです。取ったことを理由に評価を下げるのは、筋が通りません。それでも空気が悪いなら、それは職場のしくみの問題です。
Q. 夜勤の仮眠室がない
日本看護協会のガイドラインは、仮眠の時間を決めておくことを求めています。仮眠を取る場所がないことも含めて、記録と一緒に相談してみてください。腰や体の負担については、休憩・水分・腰を守るために確かめることにもまとめています。
まとめ
- 休憩は、6時間をこえたら45分以上、8時間をこえたら1時間以上。自由に使えることが条件
- 呼ばれたらすぐ出る待機は、休憩ではなく労働時間とされる
- 2週間の記録を持って、休憩と仮眠の回し方を相談する。変わらなければ、休める職場を選んでいい
次の一歩:今日の勤務から、休憩に入れた時間を1行だけメモしてください。2週間たてば、それがいちばん強い相談の材料になります。
出典・参考
- 労働基準法(e-Gov法令検索):第34条(休憩)、第104条(監督機関に対する申告)(確認日:2026-10-04)
- 労働基準法施行規則(e-Gov法令検索):第31条(一斉休憩の例外)(確認日:2026-10-04)
- 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(厚生労働省)(確認日:2026-10-04)
- 休憩・手待ち時間についてのリーフレット(厚生労働省 山口労働局)(確認日:2026-10-04)
- あっせん事例の解説(中央労働委員会):最高裁平成14年2月28日判決の紹介(確認日:2026-10-04)
- 看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン(日本看護協会)(確認日:2026-10-04)
- 2025年 看護職員実態調査 ニュースリリース(日本看護協会、2026年3月31日)(確認日:2026-10-04)
- 総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)(確認日:2026-10-04)

